投稿者:赤胴鈴之助 投稿日:2017年 7月16日(日)17時30分23秒 通報
21世紀への選択 池田・テヘラニアン対談 1/6
はじめに
平和学者のマジッド・テヘラニアン博士と初めてお会いしたのは、一九九二年七月であ
った。
博士はシルクロードの遺跡へ向かう旅の途中で、東京に立ち寄られた。その折りに、語
り合う機会を得たのである。
眼差しは、春の光のような温かさを感じさせた。
穏やかな口調が、ひとたび戦争と平和の問題となると、一変して語気を強めて語られる。
その情熱的な姿が印象的であった。
私は、胸の奥に秘めた”信念の炎”を見る思いがした。
博士と私は共に、戦争の嵐が吹き荒れるなかで、少年時代を過ごした体験をもつ。
博士は、一九三七年、イランのマシュハドで誕生された。
ほどなくして第二次世界大戦が勃発し、街は爆撃を受け、占領される。幼心にも、戦
争の悲惨さは深く刻まれたに違いない。
「戦争は人間を”野獣”に変えてしまうことを、私は思い知らされたのです」
少年は戦争を憎んだ。そして、怒りを決意に変えた。
平和な世界を築くために、一生を捧げよう!と・・・。
青春の日、アメリカに渡ってからも、ハーバード大学で勉強に努めるかたわら、祖国の
民主化運動のために戦われた。
そのため帰国した際には、空港で身柄を拘束され、釈放された後も、七年間にわたり
当局の監視が続けられたという。
だが博士は、信念の歩みを止めることはなかった。
「波浪は障害にあうごとに、その堅固の度を増す」との箴言のごとく、”平和を求める
心”を、いやまして強めていかれたのである。
だからこそ、一言一言に重みがある。「行動する平和学者」として培ってこられた”闘
争する英知”が輝いておられる。